非常に稀なMutual Planetary Transits
作成:舟越 和己
SKY & Telescope誌の過去の記事に、主要惑星が他の惑星を掩蔽するのを望遠鏡で観測した唯一の
出来事が載っていました(John Bevis and a rare Occultation:SKY & Telescope, 1986年9月)。
これは、1737年5月28日に英国のJohn Bevisが見た金星による水星の食で、この時、半月の水星
の前を細い三日月状の金星が通過したということです。
インターネットで調べると、惑星同士の掩蔽(又は通過)は極めて稀で、最も近くで起きたのは、1818年
1月3日の金星の木星面通過で、次に起きるのは2065年11月22日の金星の木星面通過だそうです。
現在若い人ならばこれを見ることができそうですが、私の場合は無理です。
今後の惑星同士の掩蔽の予定は下記に載っています;
http://en.wikipedia.org/wiki/Occultation#Historical_observations
・22 November 2065; Venus transits Jupiter
・15 July 2067; Mercury occults Neptune
・11 August 2079; Mercury occults Mars
・27 October 2088; Mercury transits Jupiter
・7 April 2094; Mercury transits Jupiter
・21 August 2104; Venus occults Neptune
・14 September 2123; Venus transits Jupiter
・29 July 2126; Mercury occults Mars
・3 December 2133; Venus occults Mercury
1818年1月3日の金星の木星面通過は下記のWebに
「the most recent transit of Venus over Jupiter as it could have been viewed from a ship between
Japan and Korea in 1818. However, no one actually reported observing the event.(最も最近の木星面の
金星通過は1818年に日本と韓国の間の船から見ることができたが、そのイベントを観測したという報告はない)」
とあります。1818年といえば日本は江戸時代で鎖国中ですから見た人がいないのは当然です。
http://cs.astronomy.com/asycs/forums/p/45051/438511.aspx
1818年の木星面の金星通過のシミュレーション図(Mutual Planetary Transits Fifteen millennium catalogより)
外惑星同士となるとさらに稀で、火星の木星面通過は2223年12月2日までありません。木星と土星
に至ってはなんと紀元7541年2月17日までありません(紀元前5000年までさかのぼってもこれが
初めて)。このころ人類はどうなっているでしょうか?